地域貢献セミナー(2017/3/16開催)レポートを掲載しました

地域貢献セミナー

地域貢献/社会貢献に関する先進的事例紹介

 

 

【日時】 平成28年3月16日(木)18:30~19:30 

【場所】 神戸市勤労会館 404講習室

 

□ARを活用した記憶の伝承 神戸新聞の震災報道

 講師:川上 隆宏 氏(神戸新聞社 デジタル事業局 メディアプロモート室)

 

□ITを届ける ~アイクラフト株式会社の地域貢献の取り組み~

 講師:岸田 佳帆 氏(アイクラフト株式会社 顧客サービス部)

 

WEB掲載_神戸新聞 WEB掲載_アイクラフト

 

「COPLI地域貢献セミナー」では、先進的な地域貢献/社会貢献活動をする企業とその事例を紹介しています。今回は、株式会社神戸新聞社よりデジタル事業局メディアプロモート室の川上隆宏氏、アイクラフト株式会社より顧客サービス部の岸田佳帆氏のおふたりを講師にお招きし「ARを活用した記憶の伝承 神戸新聞の震災報道」「 ITを届ける ~アイクラフト株式会社の地域貢献の取り組み~」についてそれぞれご講演いただきます。

 

□ARを活用した記憶の伝承 神戸新聞の震災報道


神戸新聞社は2015年、震災から20年の節目に合わせ、ウェブ上で様々な試みを行いました。本日は「ARを活用した記憶の伝承 神戸新聞の震災報道」と題して、カメラアプリを活用し、震災当日の風景がスマホ越しに再現されるようにした「阪神・淡路大震災 on Yesterscape」という取り組みについて説明させていただきます。そのほか震災20年にあわせて作成したコンテンツなども紹介させていただき、成果と今後の課題などについてもお話しできればと思います。

ウェブを活用した震災20年報道

神戸新聞社は、近年ネットでの取り組みに力を入れており、2012年11月には「神戸新聞NEXT」という電子新聞を立ち上げました。速報を配信するニュースサイトと、実際の紙面を閲覧できる「紙面ビューワー」、過去記事が検索できる「記事データベース」などのサービスがまとまったもので、有料会員になれば、パソコン、スマホ、タブレットで、ほしい情報に素早くアクセスできます。また、緊急時には重大ニュースや気象情報、鉄道運行情報などをお知らせする安心・安全メールを配信しています。このサービスも今年の11月に5周年を迎えます。もちろん地方新聞社のサイトとして地域の情報を広く発信していく責任もあるため、有料・無料のサービスのバランスを取りながら運営しています。ウェブを活用した震災20年報道もその一環となります。

神戸新聞NEXTの企画・運用には、編集・営業・技術・販売など社内の多くの部門が関わっています。私自身はデジタル事業局メディアプロモート室というところに所属しており、サイトデザインなどを主に担当しています。今日はデザイン担当者としての視点で震災20年の取り組みについてお話しします。ほかの部門の者とは見方が少し異なるかもしれませんが、それを踏まえてお聞きいただければ幸いです。
 
1995年1月17日。あの日の風景が、スマホ越しに

「阪神・淡路大震災 on Yesterscape」は、神戸中心部の街中でスマホをかざすと、現在の風景に震災直後の様子を重ねて見ることができるという、カメラアプリを活用した取り組みです。アプリをスマホにインストールして街へ出かければ、重なりあう過去と現在に復興の歩みを体感できます。

写真登録地点は神戸市中央区三宮・元町周辺の101か所(2014年12月1日現在)です。阪急三宮駅北口、そごう、国際会館、生田神社、市役所、新聞会館などの当時の様子が見られます。

ちなみに、サービスを始めた頃は、掲載している101カ所について「意外に少ないね」といった感想をいただくことがありました。本来であればもっとたくさん写真を撮影しているので、「出し惜しみしているのでは?」と聞かれたこともあります。

しかし、地図にマッピングすることが可能な写真を考えていくうちに、この101カ所に厳選されてしまったという経緯があります。

アプリの機能の都合上、表示させるには撮影地点を細かく指定する必要があるため、撮影場所が曖昧だったものは活用できません。現在はカメラが自動的に写真の撮影位置や日時を細かく記録してくれたりしますが、20年前のこととなると人の記憶のみが頼りです。掲載する写真を選んだのは編集部門になりますが、災害という当時の状況もあって、詳細な撮影状況がわからない写真も多かったと聞いています。

また、地図上へマッピングできそうな写真でも、公開してもよい写真かどうかの判断はまた別の問題です。プライバシーの面に配慮しなければなりません。

表示のためには位置を厳密に指定することになるので、たとえば倒壊した家屋の写真をあげた場合、ピンポイントで「この場所の住宅は過去に倒壊した」という事実を周知することにつながってしまいます。正確性とプライバシーを考慮しながら、どこまでアーカイブに盛り込むのか。新聞社が取り組む意味をかんがみながらバランスをとっていくのは難しい問題に感じています。

そのようなことを社内で検討した結果、掲載できる写真は、住宅が少ない市街地・誰もが知るランドマーク・そして人物の写り込みが少ないものに絞り込まれていきました。

一方で、枚数の少なさを感じさせないように配慮もしており、アングルを変えた写真をたくさん載せ、当時記者が現場を歩いた感覚を味わえることも目指しています。

また、正確な位置と見えやすい位置は異なるので、実際に街中で表示された様子を確認しながら、配置を検討しています。アプリを提供された企業の方も何度も現地で確認しており、画角、写真の広がりかたなどテクニカルな部分について細かな調整を重ねられました。

今回の取り組みは当時珍しかったこともあり、20以上のメディアやサイトで紹介されたほか、一部の雑誌やテレビなどでも取り上げられました。また、東日本大震災の被害を受けた岩手県大槌町が2015年6月に策定した「景観形成ガイドライン」のなかで、今後取り組みたい事業の参考例として紹介されました。大槌町の方が弊社の取り組みを知ったのは、応援に行かれた行政関係の方から聞いたことがきっかけだそうです。

今回の取り組みの大きな特徴として、ベンチャー企業が開発した既存のアプリを活用し、共同制作したこともあげられます。

「阪神淡路大震災 on Yesterscape」は、京都のベンチャー企業・QOOQ(クオーク)が2013年に開発したカメラアプリ「Yesterscape」を活用しています。神戸新聞社が蓄積していた写真を選択・入力する一方、QOOQが入力環境の整備とアプリ機能の強化を行い、共同で新たなコンテンツを作成しました。

 Yesterscapeのアプリは日本ではまだあまり馴染みがないかもしれないですが、タイなどアジアで人気があり、コンテンツを作成した2015年時点で、世界100か国・20万人が使っているそうです。

アプリの機能について紹介サイトの文面から紹介しますと、「撮影した写真を場所と時間と共に記録し、タイムマシンのように空間の記憶を呼び起こします。位置だけでなく方角、傾きなども記憶する世界初のARカメラアプリです」とされています。

思い出の写真を、撮影した思い出の場所に記憶させるような使われ方が想定されています。たとえば10年後、偶然その場所を通りがかれば通知が来て、昔の自分と記念写真が撮れたりもするようです。現在の情報と過去の情報が、ひとつの画面上に両方存在できるのが新鮮で、この仕組みを使えば新しいアーカイブが作れるのではないかと考えたのが取り組みのきっかけでした。


被災地の記憶と教訓を活かし、震災20年報道の在り方を模索

今回のような取り組みをすすめるきっかけとして、震災20年報道のあり方を社内で話し合ったときの問題意識があります。震災のことをきちんと伝えてこられただろうか、特に、全国の神戸新聞の紙面が届かない人たちに向けても、震災のことをしっかりと伝えてこられただろうか。

震災が起きた当時、神戸新聞社も大きな被害を受け、当事者の視点に立った震災報道をすすめてきました。神戸新聞NEXTにもこれまで20年の報道の取り組みをしっかり掲載するべく、多くの記事を収容してきました。

ただ、震災20年でリニューアルする前の画面をご覧いただくと、大量の記事がリストになって掲載されている状態で、初めてサイトを訪れた方にはハードルが高かったのではないかと思われます。震災の全容を把握されている阪神間や兵庫県の方はすっと理解できることも、遠くはなれたところにお住まいで、はじめてサイトをご覧になられた方には難しいこともあります。

そこで、震災20年でサイトを見直すにあたり、あまり震災の情報に触れてこず、阪神・淡路大震災にはじめて関心を持たれた全国の方々でも理解いただけるような、ざくっと被害と復興の全体像がわかるものを作りたいと思いました。2014年9月から段階的に震災特集サイトを刷新していきましたが、その中では年表形式だったり、動きのあるグラフなどを多用して、被災地の変遷をわかりやすく伝えるコンテンツにも取り組みました。

しかし、もっとざくっとわかりやすく伝える方法はないだろうか?と考えたとき、思い出されたのが東日本大震災の際の各メディアやサイトの取り組みでした。
たとえば「未来へのキオク -3月11日 あの日から3年」というサイトでは、ストリートビューで東日本大震災の被害を見に行くことができます。あのときなにが起こったか、町の様子が一目でわかるのです。また、数多くの災害に関する動画があげられたのも印象的です。

ストリートビューで離れた被災地を歩くように体感し、数多くの動画に触れる。それはひとりひとりが遠くはなれた被災地を心の中に構築していくような体験のように思われました。東日本大震災のネットでの体験は、多くの人の「災害へのまなざし」を変えたように感じました。その新しく獲得されたまなざしで、阪神・淡路のことをとらえなおすことができればとも思いました。

阪神・淡路大震災のアーカイブをまとめるにあたり、東日本大震災での取り組みを真似るだけになるのかもしれませんでしたが、空からの視点や時間の経過を比較し、自分から探して認識を深める仕組みを作れないかと考えました。それがYesterscapeの取り組みであったり、これから説明するデジタルマップの表現につながりました。


「阪神・淡路大震災 デジタルマップ」発見に繋がるアーカイブ作り

Yesterscapeの取り組みとあわせて「阪神・淡路大震災 デジタルマップ」というサイトを制作しました。被害を伝える写真・約530点を地図上にプロットし、同じ地点の現在の写真とあわせて表示する仕組みです。紙面で紹介したことのある地域の人たちの声も紹介しています。
国土地理院が撮影していた被災直後の航空写真も合成して、神戸市の一部のみ掲載しました。たとえば1月17日の東灘区の様子を拡大すると、火事が起きている様子がわかります。摂津本山駅と国道2号の間付近では、よくよく見ると車の渋滞などが写っていたりします。

表現手法自体は独自性が高いわけではなく、目新しいものでもないと思います。しかし、新聞社ならではの視点で写真を選び、過去と現在の写真をならべて20年の時間を並列して見られるようにしたことに、取り組みの意味があったのではないかと考えています。

また、新聞社が取り組む意義として、神戸・阪神間から淡路島まで、被災地全域をカバーすることにこだわりました。また、震災当時の写真は一部自治体などから提供を受けていますが、震災当時の写真と同じアングルで現在の写真を撮影しました。1点1点、編集部門のカメラマンが探し歩いて収めています。

マップをあらためて見ると、びっくりするようなところまで被害が広がっているのがわかります。テレビの中継では被害の大きかった長田の街がクローズアップされますが、それがすべてではないということをマップを見ていくことで体感できるのではないでしょうか。発見につながるアーカイブになればよいなと思います。

そのほか震災20年の取り組みとしては、震災の年に生まれた20歳の若者による震災の記憶をたどるルポを作成したり、読者から寄せられた「震災の前日」の記憶をまとめたサイトなどを作成しました。また、1.17の当日には神戸新聞NEXTのトップページ全体を震災特別対応として大部分を震災コンテンツの紹介にあてました。追悼の催しが続く被災地の様子を取材記者がリアルタイムで伝えるツイッターコーナーも期間限定で設置しました。1.17前後の神戸新聞サイトへのアクセスを分析すると、約8割が県外からということもわかりました。震災20年にあわせて、全国の人たちにもわかりやすく伝えたいという思いは、一定程度果たせたのではないでしょうか。

新聞社として地域になにができるか

しかし「Yesterscape」を含めた震災20年の取り組みは、反響は大きかったものの、「過去のことを頑張ってまとめたのは分かったけれど、それで?」といったような声をいただくこともありました。

こちらとしても、「過去をわかりやすくまとめることに終始し、そこから先の『何か』がなかった」「ユーザーのみなさんと一緒につくりあげる部分がなかった」など反省点も多く、そこから先の『何か』を伝えていく必要を感じています。

また、つくる負担が意外に大きく、更新頻度がなかなか上げられない問題やコンテンツの収益性と情報の公益性とのバランスを取る難しさもあります。災害情報を発信する意味、アーカイブをつくり守っていく意味を模索するとともに、あらたな活用策を考えなければなりません。

過去に神戸新聞社は、ある求人広告が思いもよらず注目され、「いまいち萌えない娘」というキャラクターとしてネット上で話題になったことがあります。これは二次創作をOKにすることで、イラストが多数投稿されるなど盛り上がりました。阪神・淡路大震災の記録写真についても、公益性の高いものはオープンデータとして提供して二次利用できるようにするなど、「使ってもらう方法」を少し変えていくことでも、みなさんと新しいものを作っていくことができるのではないかと思っています。

ICT教育・NIEなど新聞社が保有するコンテンツを多彩なかたちで活用する機会が増えてきました。効率よく付加価値の高いコンテンツを開発していくための手法や、ユーザーと一緒にコンテンツをつくり、一緒に活用策を考えていく方法を引き続き研究していきたいと思います。それが新聞社としての地域貢献、社会貢献につながっていくのではないでしょうか。

 

川上隆宏

 

 

□ITを届ける ~アイクラフト株式会社の地域貢献の取り組み~



アイクラフト株式会社は、今年で設立16周年を迎えます。代表取締役を務めるのはCOPLIの副会長である山本裕計(やまもと ひろかず)システム運用保守、システムインテグレーション、ソフトウェア開発、ITインフラ構築、オープンソース・ソフトウェア利用サポートなどが主な事業です。また、ベトナムとミャンマーにも支店があり、海外事業支援も行っています。モットーは 『情報技術者と地域密着の会社であり、顧客に「ITを届ける」こと』

わたしは生まれも育ちも神戸で、神戸から出たことがありません。神戸で暮らしてかれこれ24年。地元の高校を卒業し、神戸芸術工科大学に進学、先端芸術学部まんが表現学科でCOPLIの幹部である橋本先生に学びました。
そういう経歴ですので、ITのことは一切知りませんでした。しかし、COPLI関係でアイクラフトを知り、神戸で働きたいというのもあって、こちらへ入社いたしました。2016年4月から顧客サービス部に入り、ちょうど一年になります。業務はネットワーク・サービスヘルプデスク(客先常駐)で、常駐先はポートアイランドの某研究所。趣味はヴィッセル神戸の応援。シーズンシートを買い、ホームは全部見に行くのを使命としていて、アウェイもなるべくリアルタイムで見られるように頑張っています。

さて、今日はアイクラフト株式会社の地域貢献への取り組みと、わたしの思う地域貢献についてお話させていただきます。

ボランティアだけが地域貢献なのか

地域貢献と聞いて、まず皆さんが思いつくのはなんですか?地域住民との交流でしょうか。資金的な援助でしょうか。あるいは文化的、福祉的な活動でしょうか。いずれにせよそれは企業や団体、個人による無償の奉仕活動だと思います。
しかし、ボランティアだけが地域貢献なのでしょうか。お金を貰ったら地域貢献といえないというのはおかしな話しです。地域へのサービス提供や、地域の名を背負い、大阪や東京、あるいは海外など地域の外へ出ていくことも、わたしは立派な地域貢献だと考えます。企業・団体は、その地域をベースとしている時点で、すでに貢献活動をしているのです。

人間関係と一緒で、一方的に尽くす関係は長く続きません。尽くされる側が尽くす方に寄りかかれば、大きな成長に繋がらないでしょう。過剰サービスが叫ばれている今、地域貢献とビジネスと結びつけることも大切です。そういった概念を踏まえ、弊社の地域貢献活動の実例をご紹介したいと思います。

サービスの地産地消が地域活性化に繋がる

まず、弊社では事業として「iSTAFF」を初めとした地域密着型ITサポートサービスをしています。サービスの地産地消が地域活性化に繋がるのではないかという考えのもと、地域の企業・団体をターゲットとしたサービス提供をする事業です。
現在ではメールやスカイプなどいろいろな手段で遠隔地ともコミュニケーションを取ることができますが、実際に会って話せば人柄もわかり、仕事以外の話しも広がります。そこで「iSTAFF」では、実際のコミュニケーションによる信頼関係構築を目指しています。

また、オリジナル・アニメーションの祭典「アニメーション神戸」では「デジタル・クリエーターズ・アワード」最優秀賞の景品に、弊社オリジナルPC「Integral-500」シリーズを提供しました。ちなみにわたしも大学時代、授業で「アニメーション神戸」に作品を応募したことがあります。アニメは一見、業務と無関係に見えますが、こうして制限を持たず、芸術分野にも取り組んでいくのがアイクラフトのいいところです。

2008~2011年は、毎年海の日にメリケンパークで行われる「Kobe Love Portみなとまつり」へも出展しました。芸能人なども来て大勢の人で賑わうイベントです。わたしも昨年、お客さんとして参加しました。当日は撮影した写真にオリジナルフォトフレームを合成したポストカードを配布。フォトフレームの合成は会社の業務ではありませんが、ITっぽいことをしてみようということで、こういう企画になりました。
そのほかにもモグラたたきゲームやAndroidでゴミ分別ゲームなど、ITっぽいゲームを用意し、弊社のイメージを売りつつ、お祭りの雰囲気にそぐわないものを提供していた感じです。

2012~2013年は神戸・新長田地区で実施された神戸ポップカルチャーフェスティバルへのブース出展を行いました。そこで弊社社員作成のゲームアプリ「パズル・マンホール工場」の体験と、神戸みなとまつりと同様ipadでの写真フレームつき撮影・ポストカード作成するサービスを提供。「パズル・マンホール工場」は神戸市水道局のイベントアプリとして開発されたものです。

2006年からは「神戸市キャリア教育推進協議会」が勧める「子ども参観日」を実施しています。親が子どもに働く姿をみせるイベントです。オペレータ体験、ネットワークケーブル作成など、大人と一緒に参加して貰い、ITという難しそうな分野に関しても、子どもが興味、関心を持ってくれるよう工夫しました。
また、イベント終了後は花火鑑賞会を開催。弊社はビルの13階にあり花火がよく見えるので、子ども参観日を花火大会に合わせたのです。こちらのイベントは神戸新聞にも取り上げていただきました。

また、2009年~2016年までサッカークラブ「ヴィッセル神戸」のオフィシャルスポンサーをしていました。その活動のなかで2011~2015年は、神戸在住の外国人を招待するイベント「The World Supporters Day」を開催。外国人の方々と楽しいひとときを過ごしました。
ただ、わたしも入社前サポーターとして参加していたのですが、そのときはアイクラフトの名を知らず、広告という意味ではさほど大きな効果はなかったのかなと思います。2016年はそれを踏まえ、新たなアプローチを考えました。

ヴィッセル神戸協賛「LibreOffice Touch2016」で自社を積極的にアピール

そこで企画したのが「LibreOffice Touch2016」です。これはヴィッセル神戸のミッションのひとつである「サッカーを通じて地域社会に貢献すること」に共鳴し、神戸から地域密着の想いでオープンソースオフィスソフト「LibreOffice Touch」とユーザーの輪を広げていこうとするイベントです。
自社のサポート業務につながる「LibreOffice 」の周知を狙うことで、2011~2015年までの「The World Supporters Day」とは異なるアプローチを試みました。
せっかく「ヴィッセル神戸」のスポンサーをしているのだから、その知名度にあやかろうというわけです。スタジアム来場者に「LibreOffice」へ少しでも触れていただくことを狙いました。

「LibreOffice Touch2016」は社内の地域活動委員会が主体となって企画・運営しています。この委員会は各拠点の地域において、アイクラフトらしい各種活動を行うことで地域社会に貢献し、地域住民および企業に、会社の存在と企業活動の内容をより広く知ってもらうことを目的としています。

OSS/ LibreOfficeとは、オープンソースソフトウェア(OSS)として開発された、様々なオペレーティングシステムで利用可能なオフィススイートです。ソフトウェアのソースコードが無償で公開され、フリーソフトウェアとして自由にダウンロードし、使用・再配布することができるものです。このスライドもLibreOfficeで作成しました。
意外とできることが多くて、アニメーションなども作れますし、テンプレートも無償で公開されています。オフィスのライセンスが入っていないパソコンにはぜひ入れておくべきソフトです。

このイベントはアイクラフトおよびヴィッセル神戸公式サイトにおいて広報しました。アイクラフト作成の特設サイトで「LibreOfficeを知っていますか」「使ったことはありますか」などの簡単な質問を用意し、アンケートに答えると試合観戦チケットやタオルマフラーのプレゼントの他、ロッカールームなど試合直前のスタジアムの裏側を探検する「スタジアムツアー」への参加権が得られます。豪華な特典はヴィッセル神戸の協力で実現。抽選100名当選に対し、1351名の方にご応募いただきました。
前年の「The World Supporters Day」は定員割れぎりぎりだったと聞いています。しかし、今回は13倍の応募数で盛況でした。
これまでは企業のブースというのを全面に押し出さずやってきたのですが、今回は「LibreOffice」とサポートサービスをはじめとする「OSSビジネスを紹介し、自社を積極的にアピールしました。

OSSによる地域貢献・地域創生の可能性。

地域活動委員会の委員長は「地方にOSSサポートや独自改良、新規の導入といった需要が生まれ、それに関わるOSS関連のビジネスや雇用が生まれるのではないか。それが地域貢献、地域創生に繋がるのではないか」また「ライセンス費用が不要なOSSの特性によって、ほかの経済圏へ一方的に流出するお金の減少分を、新たな用途に活かすことができるのではないか。可能性を実現するためにOSSの『利用も改変も自由』『ライセンス費不要』という特徴や、家庭や職場で利用できるOSSに現在どのようなものが存在しているか、というOSSに関する広報を地域社会に向けて進めていく必要がある」といっています。
そして「地元のサッカーチームに興味関心があり、ITに対する関心度は様々な一般の方々が来場するスタジアムという場で、来訪者と直接対話しながらOSSに関する周知を行った、今回の『LibreOffice Touch2016』は、OSSに対する興味関心を高め、いずれ地域貢献につながる活動といえるでしょう」とも申しておりました。わたしを含めら委員会メンバーも同じ思いです。

開催当日はソフトウェアの使用体験ができるブースを用意し「LibreOffice 」の日本語製作チームの方にも来ていただき、ソフトについてその場で説明してもらいました。また、親しみを持って貰えるよう、LED広告にはオリジナルキャラを添えました。このキャラはわたしが作成しましたが、当初の想定より多くの場面で使用されることとなり、驚きました。想定以上の需要があったということで、良い経験になりました。

開催後は当選者100名にお礼のメールを送ると同時に感想を募り、アンケートの参加を促したところ大きな反響がありました。「丁寧に対応してくださりありがとうございます」という会社への好印象や「実際にソフトウェアを使ってみようと思いました」などのコメントもいただきました。
また、これは予想外の出来事なのですが「LibreOffice」の世界中のコミュニティでこのイベントが評判になりました。「LibreOffice」はヨーロッパが開発の中心ですが、サッカースタジアムで「LibreOffice」の広告がされたのはサッカーの本場ヨーロッパでも過去に例がなかったからです。

これからの地域貢献 ~それぞれが地域の一員として~

これからの地域貢献では、それぞれが自覚を持って動いていかなければなりません。自ら動かなければ、周囲の人もついてきてはくれないでしょう。ですから地域のために自ら動き、周囲をどんどん引っ張り込んで、影響力を高めていくことが重要であると考えます。
また、地域になにが求められているのかだけでなく、なにを求めるのかを考え、既存の枠組み=ボランティア的なイメージに捉われず、対価を貰うことを悪だと思わず、地域貢献に取り組くむことを提案したいと思います。自分の会社にとってもプラスになり、かつ地域のプラスにもなる、地域の未来に投資していく、それがこれからの地域貢献の在り方ではないでしょうか。
 

岸田佳帆